大学院に通いながら公務員として働く

人生経験

23歳の大学院1年生の頃だ。私は大学の研究進捗につまづいていた。一方で実家から近くの官公庁で働いてみたいという気持ちがあった。既に学士号は取得していたため、大卒の国家一般職試験を受験し、希望通り内定をいただいた。

「これで晴れて10月または翌年4月から公務員として働ける。勿体ないが研究でも苦戦しているため、大学院は中退しよう。」と内定をいただくまでは思っていた。しかし、私の中で「中退」が頭をよぎる、後悔はないか。
私はきっと後悔するだろう、そして大学院に通いながら公務員として働く両立の道を選んだ。
この両立の期間は1年だけだった(大学院2年次に公務員として働いた)。そして無事に大学院を修了することもでき、今はとても良い選択だったと思っている。
大学院に通いながら働きたいと思っている方に読んでいただければ本望だ。

規則的には問題ない

私は国家公務員だったが、就職先の官公庁の人事担当者へ問い合わせたところ、業務への支障が出なければ大学院へ通い続けても問題ないと教えていただいた。国家公務員法では営利目的での兼業が禁止されている一方で、大学院生は学業が本分なので問題ないようだ。ただし、学生実験のTAなどの学内アルバイトをやると本業以外で所得を得てしまうので、避けていただきたい。

両立するには環境が一番大事

私的には下記の条件さえ整えれば、両立は十分可能と考える。

  • 通勤、通学が自宅から片道30分以内
  • 自宅からでも研究活動に取り組める(研究室PCへリモート接続、自宅でデータ解析、論文作成など)
  • 本業の労働時間が8~9時間程度(残業月20以下)
  • 職場の上司と大学教授の理解(私の場合、職場と大学教授が同業界で関わっていたため寛大に配慮いただけた)
  • 大学1年次に学会ノルマ、必要単位はほぼ取得しておく

究極的には、職場の上司と大学教授から了承いただければ両立はできる。大学への事務手続き的には、学務へ事情を説明して申請書類をいただき、職場の上司(私の場合、人事部)から署名をいただければ完了だ。
必要単位は1年次のうちにすべて取得し、学会や論文ノルマも達成しておきたい。やはり職場の方が優先なので、少しでも大学院での負担、時間的拘束(学会は2日はとられてしまう)は減らしておきたい。

実際に両立してみて、感じたこと

私は下記のようなスケジュールで両立をこなしていた。
【平日】
8-18時:公務員(通勤、労働、帰宅)
20-24時:大学院(通学、研究、帰宅) 
【土曜】
9-14時:大学院(通学、教授との打合せ、研究、帰宅)

緊急・重要案件がない限り、定時で帰宅していた。私は実家から職場、大学へも徒歩30分圏内とかなり恵まれた環境にあった。移動時間は大きなロスになってしまう。夕食後から寝るまでを学業に充てた。
大学院へは週2、3日程度で通っていた。必要なデータさえ手元にあれば、自宅でできることは多い。研究室でシミュレーションを回してデータを取得し、自宅で解析、資料や論文作成に取り組んでいた。
教授との進捗確認は土曜日に設定いただいた。教授は私の両立に多々協力してくださり、感謝しきれない。
日曜日は完全に休養日にした。最初は土日も大学院へ通っていたが、疲れていると何も進まない。区切りをつけて短時間で取り組んだ方がよほど進んだ。

学会発表前や修士論文作成、ゼミ発表前は追い込まれることが多いが、それ以外は苦痛に感じなかった。職場での年休や夏休みを使ってゼミ発表のほか、ゼミ旅行や学園祭も楽しんだ。学会で沖縄へも行けて楽しかった。
そして、既に正規労働者として働いているため、周りの学生よりもお金があり、学生気分で貴族気分を満喫した。

メリットとしては、

  • 1年間早く動ける、遅れを取り戻せる(私の場合1年遅れた大学デビューを取り戻した)
  • 両立かなり稀なケースのため自信になる
  • 昇給する(私の場合、大学院終了後に院卒相当へ昇給された)
  • 大学院では学会発表の機会が多く、海外も経験し視野を広められる(交通、宿泊費は研究室で出るため、かなりおいしい)
  • 学術的な要素に勤勉に取り組める

大学院を修了して良かったと心から思える。公務員では大学院卒はあまり多くない、その中で専門性が発揮できればより活躍できる。給与所得も増えたことは驚きだった(お陰で社会人2年目からの住民税による手取りが減る影響はほぼ受けなかった)。
そして、国内にとどまらず、グローバルな視点で物事が見れるようになったことが大きい。若いうちは勇敢に挑戦し、自分のできることを広げていきたい。

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